大人クラスでは身体の癖や歪みを直して正しい筋肉の方向で身体を使うことを指導の根本においています。

たくさん練習して筋肉を強くすれば脚を上げることも、回ることも、飛ぶこともある程度できるようになります。長く経験を積めば当然動き慣れし、踊りのこなし方も身につきます。

 

でももし正しい筋肉の方向で作り上げた骨格の体で踊らなければ、踊れるようになることの代償のように外側に筋肉が発達してしまったり、脚がきちんと開かない内股のままのラインになってしまったり、バレエにおいて美しい脚の基本とされる膝の裏が伸びた脚にならなかったり、股関節の柔らかさに頼れば一見綺麗に見えても体のつながりが外れているため頭の先から足の先まで一本芯が通った立ち姿になりません。

 

テクニックにおいても上半身と下半身の大切なつなぎの腰が立っていなければ回転の数は多くできてもキレのあるスピードの速い回転はできません。外側の筋肉で支えていれば脚は高く上がりますが、首や肩に余分な力が入って上半身に苦しさがでます。太ももの強さと身体の柔らかさを使って飛べば飛べますが、一定のリズムとタイミングでしか飛べず変化に富んだジャンプや軽やかな動きができなくなります。

 

それでもやれば無理な負荷をかけ続けることで慢性疲労と怪我につながります。

音楽や役柄に応じて自由自在に表現できる体を作ることがバレエをやる上で大事になってきます。

理想と結果を無理矢理押し付けるのではなく、1人1人の適性、レベル、進歩の具合を丁寧に見ながら、時には筋肉の方向に触れて直すことで身体の感覚を磨き、捉えていけるようレッスンしています。